ストーマ(Stoma)とはギリシャ語で「乳頭状に突き出した口」という意味を持ち、手術によって病巣を摘出した後に腸や尿管の一部を体外に出してつくった便や尿の出口(排泄口)のことを言います。消化管ストーマからは便、尿路ストーマからは尿が排出されます。尿管を腸につないで尿を排出するものもあります。手術のあとは、肛門や尿道からの排泄に代わり、ストーマから便や尿を排泄するようになります。
ストーマの外見と感覚
ストーマは人それぞれに大きさや形が異なります。
手術の直後は大きくむくんでいるかもしれませんが、通常、術後6-8週間で徐々に小さくなっていきます。
術後落ち着くとストーマの色は赤色になります。 これは口の中の粘膜と同じように、ストーマが粘膜であるためです。
ストーマは粘膜でつくられた腸や尿管そのものが直接腹壁に出されているので傷つきやすいです。
括約筋や神経がありませんので痛みを感じません。
また排便や排尿を自分でコントロールすることができません。
でも大丈夫!食生活や日常生活をコントロールして自分に合った排泄方法やストーマ装具をみつけることで、今までと殆んど変わらない生活が送れるようになります。
消化管ストーマ | 尿路ストーマ | ||||||
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結腸ストーマ (コロストミー) |
回腸ストーマ (イレストミー) |
尿路ストーマ (ウロストミー) |
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排泄物 |
排泄物 |
排泄物 |
排泄物 |
排泄物 |
ストーマ装具 |
ストーマ装具 |
ストーマ装具 |
- 食事
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基本的に食事制限はありません。栄養のバランスを考えて、規則正しく楽しく摂りましょう。
回腸ストーマ(イレオストミー)の方は、特に消化の良いものをとることと、一度に多量にとらないようにして下さい。尿路ストーマの方は、十分な水分の摂取を心がけ、状況に応じて、クランベリージュースやビタミンCなどで尿のアルカリ化を防ぎましょう。
※高血圧症、腎臓病、糖尿病等医師から食事療法を指示されている方はそれを守って下さい。 くわしくはこちらへ
- 入浴
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入浴することでストーマにトラブルが起こることはありません。
清潔にしておくことがトラブル回避の元でもありますので、排泄物の少ない時間帯を選んで積極的に入浴しましょう。 公共の浴場では必ず装具をつけて入りましょう。
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- 運動
-
ストーマを傷つけるような激しい運動以外は大丈夫です。
ストレス解消のためにも適度な運動は続けてください。
運動を行う時は、安全性を考えて補強テープやストーマ用ベルトでストーマ装具を固定することもできます。睡眠寝る前には袋の中に溜まった排泄物を捨てる習慣をつけましょう。尿の場合は採尿バッグをつなぐと安心して休めます。
- 旅行
-
もちろん大丈夫です。
環境や食生活の変化にそなえて装具は多めに用意しましょう。旅行先では事前にトイレの場所を確認しておくと安心です。次の行動に移る前にこまめに排便、排尿を済ませておきましょう。
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- 性生活妊娠
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ストーマケアをマスターし、体力が回復してくるとセックスの欲求が出てくることは自然なことです。性生活はもちろん、女性の場合は医師の指導があれば妊娠・出産も可能です。
男性の場合は性機能障害を起こすことがありますが、治療できる場合もありますので医師に相談して下さい。
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- 災害時
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災害時の準備ストーマ装具は最低でも1 週間分はすぐ使える状態で準備しておきましょう。
使用している装具名、販売店名、電話番号、かかりつけ病院、主治医などをメモして準備してある装具に入れておきましょう。
また、尿路ストーマの方は災害時は水分摂取量が少なくなりがちです。尿路感染を防ぐためにも、ペットボトルを備えておくと安心です。くわしくはこちらへ
- 体型の変化
- 体型が変わると(太る・痩せる等) 排泄物の漏れや装具のはがれなどによる皮膚トラブルが起きますので、装具の見直しが必要になってきます。専門のストーマ外来か購入業者へ早めに相談をして適切なストーマ装具を選択してもらいましょう。
ストーマを造ると一番変化することは、排泄方法です。
ストーマには排泄物をコントロールする括約筋がないため、自分の意思とは関係なくいつでも排泄物が出ている状態になりますので、常に排泄される便や尿を溜めるための袋(ストーマ装具)をあらたな排泄口にとり付けておき、排泄物がたまったらトイレへ出す必要があります。
このストーマ装具の種類は豊富で、あなたのストーマの形、好み、ライフスタイルによって自由に選べます。
術後、担当医師などが最適なストーマ装具を提案してくれますが、どれも安心して使用でき、目立たないものがほとんどです。 ご自身が話さない限り、採便・採尿袋を装着していることは外見からはわかりません。最初は、採便・採尿袋の装着が必要という事実を受け入れることが困難かもしれませんが、手術前と同様に生活できることがすぐに実感できるはずです。
ストーマ装具の名称と種類
面板
ストーマ袋をおなかに粘着させ固定するものです。
素材は粘着剤あるいは皮膚保護剤のみのもの、両方が使用されているものがあります。
フリーカットと
プレカット
面板にはストーマの大きさに合わせて自分で面板に穴を開ける「フリーカット」、あらかじめストーマの大きさに合った穴が開いていて自分で切る手間が省ける「プレカット」があります。
無料カットサービス当社ではご希望のサイズにカットしてお届けする便利なサービスを行っております。
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平型と凸型
平型はストーマに高さがあってストーマ周囲が平らな場合に使用するもので、凸型に比べて違和感が少なく安価です。 凸型はストーマ周囲が平らでなく、ストーマに高さがない時に使用します。
ただし、凸型形状がおなかの状態に合っていない場合や長期間の使用などによる過度の圧迫により、皮膚炎(赤み,潰瘍)が発生する危険性もありますので、安全性を確認したうえで使用しましょう。
素材
粘着面の全面に粘着剤のみが使用されているものは安価ですが、排泄される便や汗を吸収しません。
皮膚保護剤が使用されているものや、ストーマ周囲は皮膚保護剤でその外縁に粘着テープが使用されているものは、辺縁部の密着性がよく、入浴時もべたつきにくいですが、テープ部分に皮膚炎が発生する場合があります。
皮膚保護剤には粘着性、吸水性、保湿性のほかに静菌作用や緩衝作用に優れ、様々な種類がありますので、自分の体質に合わせて選びましょう。
ストーマ袋(パウチ)
面板に接着し、ストーマからの排泄を受ける袋です。
採便袋と採尿袋
ストーマの種類により採便袋(コロストミー,イレオストミー用)、採尿袋(ウロストミー用)などがあります。
下部開放型と閉鎖型
袋の下端部分から便を排出できる下部開放型のものと、便の排出口がないため便がたまったら袋を交換する閉鎖型のものがあります。
下部開放型は閉鎖具を使えば簡単に袋の開閉が可能なため、便がひんぱんに排泄され1日複数回袋を空にする必要がある場合に向いています。
閉鎖型は便が固形でそれほどひんぱんに排泄されないため、1日1回程度しか袋を空にする必要がない場合に使用します。
素材
袋内の便の臭い漏れを防止できる防臭性のものや、便の性状やストーマ粘膜の状況などを確認できる透明のもの、ストーマ装具の装着や便が目立ちにくい白色,肌色のものがあります。
付属品
袋内の便の臭い漏れを防止できる防臭性のものや、便の性状やストーマ粘膜の状況などを確認できる透明のもの、ストーマ装具の装着や便が目立ちにくい白色,肌色のものがあります。
単品系(ワンピース)と二品系(ツーピース)
単品系(ワンピース)
- <メリット>
- 面板と蓄便袋・蓄尿袋が一体化しており、面板が柔らかいため装着感が良く、取り付けも簡単で価格が安いのが特徴です。
- <デメリット>
- 装着時のストーマが観察しにくく、取り付けている期間は同じ物を使用し再利用できません。
- <こんな人におススメ>
- ストーマ周囲のお腹が出ている方・手先が上手く使えない方
剥離紙をはがして貼るだけ
なので簡単です。
二品系(ツーピース)
- <メリット>
- 面板と蓄便蓄尿袋が別々になっていて面板と袋をはめ合わせて装着するタイプです。ストーマを見ながら装着でき、袋のみの交換もできるので状況に応じて袋の種類を変えることもできるのが特徴です。
- <デメリット>
- 装着の手順が増えることや、面板に厚みや硬さがあるため圧迫感があります。また、袋をしっかりはめ込まなければ外れることもあるため、手先の器用さが求められます。価格も単品系に比べ高くなっています。
- <こんな人におススメ>
- お腹が柔らかい方、ストーマ周囲にしわや窪みがある方
ダブルロック方式カップリング
はめ込んでさらにロックするので安心確実です
カチッという音で開閉を確認できます
粘着式カップリング
ストーマ袋を面板に貼るだけの簡単装着です
やわらかいので違和感が無く、快適です。
- 排泄の
頻度 -
コロストミー排泄物の量によりますが、1日1~3回の交換が必要です。
イレオストミー1日に数回、排泄物を捨てる必要があります。
ウロストミー1日に数回、排泄物を捨てる必要があります。
※ 夜間はウロストミー用採尿袋または小容量の小型採尿袋に夜間用蓄尿袋(ナイトバッグ)を接続しておけば、夜中に起きる必要はありません
- 装具の
耐性 -
装具は耐用日数があります。それを目安にして、ご自身の皮膚の発汗量、排泄物の性状や量、気温や体温などを考慮して安全確実な自分の装着期間を決めて定期的な装具交換をしましょう。
カレンダーに交換日をマークしておくのも良いです。)
- 皮膚の
洗浄 -
皮膚に排泄物が残っているとかぶれの原因になります。装具交換時は石鹸や洗浄剤で皮膚をきれいに洗いましょう。
(ただし、皮膚にびらんや痛みがある場合はお湯だけで洗いましょう)
装具交換のときに粘着部分を無理やり剥がさないで、専用の剥離剤やオイル等を使ってやさしく剥がしましょう。
- 皮膚
トラブル -
皮膚の炎症やかぶれ、ストーマの出血、陥没、狭窄、脱出、脱落や、腸の脱出、閉塞は早めに医師の診断をうけてください。
ストーマには痛みを感じる神経細胞がありませんので少しの刺激で出血することがありますが少量の出血はよくありますので安心してください。ただし、出血が止まらない場合は医師の診察を受けてください。
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1.交換に必要なモノを揃える
- ①ストーマ装具
-
②やわらかい布や
ペーパータオル
ガーゼ -
③せっけん
(固形/液体)
泡のタイプが良い - ④ごみ袋
- ⑤ぬるま湯
-
⑥ストーマ用
ハサミ - ⑦サインペン
- ⑧ストーマゲージ
2.使用中の装具をはがす
片手で皮ふを押さえながら、最後までゆっくりと面板(皮膚保護剤)をはがします。
はがしにくい時は、ぬるま湯やせっけん水で濡らしながらはがしましょう。
一気にはがすと皮ふを傷つけます!
便利
グッズ剥離剤(リムーバー)を使うと皮ふに負担をかけず、面板をはがせます 現在準備中です
3.はがした面板を観察しましょう
面板がストーマ孔から1cmほど外側まで溶けたときが交換時期です。何日くらいでどの程度溶けるのか記録を取り、交換のタイミングを覚えましょう。
はがした面板の粘着面を観察し、面板と皮ふの間に排泄物がもぐり込んでいないか確認しましょう。
4.ストーマ周囲の皮ふを洗う
やわらかい布やペーパータオルを使い、ストーマ周囲の皮ふをよく泡立てた石鹸とぬるま湯でやさしく洗いましょう。水分を十分に拭き取り、乾くのを待ちます。
※乾かすのにドライヤーを使うとストーマが火傷することがあり、危険です。絶対にやめましょう。
便利
グッズ洗い流す必要のない清拭料もあります 現在準備中です
5.ストーマの大きさを測る
ストーマゲージを使って大きさを測ります。
(ストーマゲージはストーマ装具を購入した時に付いてきます)
6.新しい面板を準備する
フリーカットの面板の場合はストーマ周囲から1~2mmほど大きめにカットします。
はじめから孔が開いているプレカットタイプもあります。
便利
グッズストーマのカット専用はさみもあります(左利き用もあります) 現在準備中です
7.面板を貼ります
皮ふが乾いたら、新しい面板の剥離紙をはがして皮ふに貼ります。
皮ふと面板の間に空気が入ないよう、ピッタリと面板を貼ってから、皮ふになじませるようにしばらくの間上から押さえましょう。
便利
グッズ皮ふを保護し、装具の密着性を向上する被膜剤もあります 現在準備中です
便利
グッズストーマと面板の隙間に充填する皮膚保護剤もあります 現在準備中です
8.ストーマ袋を装着する
あらかじめストーマ袋の排出口を閉じてから、面板にストーマ袋を装着します。
ストーマ袋を洗うのは避けましょう。洗った時の水分が便と混じり、臭いの原因になります。また、ストーマ袋の劣化が早まり、モレの原因にもなります。
消臭グッズ | 粉末、錠剤、液体、シート等様々な種類があり、ストーマ袋内の排泄物による臭いを緩和します。袋内に入れて消すタイプや、外で消すタイプ、またトイレやお部屋内を消臭するタイプなどがあります。 |
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剥離剤 | 皮膚の剥離刺激に敏感な方がストーマ装具を装着する場合に、直接装具を貼るのではなく皮膚に薄い膜で覆うことで剥離刺激を軽減します。また、汚れからも皮膚を保護します。 |
清浄剤 | ストーマ周辺の皮膚の汚れを落とし、清潔に保つためのアクセサリーです。 洗い流しが不要で拭き取り直後に面板の装着が可能なものもあります。 |
皮膚保護材 |
リング状ストーマ周辺など、比較的平坦で貼付けしやすい箇所に使用することで面板との接着面を安定させます。 ペースト状ストーマ周囲の皮膚のしわ・くぼみによる段差を埋め、皮膚の表面を平坦にして排泄物の漏れによる皮膚障害を防止します。 パウダー状ストーマとストーマ装具面板との隙間に露出している皮膚に振りかけて皮膚への排出物付着による皮膚障害を防止します。また、湿った皮膚環境でも面板の密着性を高めることができます。 ウエハー状ストーマ周囲の皮膚のしわ・くぼみによる段差を補正して皮膚への排泄物付着を防ぎ皮膚障害を防止します。また、水分を吸収して面板の密着性を高めることができます。 スティック状シワやくぼみに合わせて貼り足して皮膚面を平らに整えてから、装具を装着します。 |
被膜剤 | 皮膚の剥離刺激に敏感な方がストーマ装具を装着する場合に、直接装具を貼るのではなく皮膚に薄い膜で覆うことで剥離刺激を軽減します。汚れからも皮膚を保護することができます。 |
ベルト | ストーマ装具の剥がれやずれを防止するため装具を固定するタイプと、ストーマ周囲のヘルニアの脱出を予防を兼ねストーマ周囲全体を保護して装具を安定させるタイプがあります。 |
腹帯 | ストーマ保有者専用の腹帯で、ストーマ袋を収納するためのポケットがあり、フィット感を高めたり、蒸れを防ぐことができます。メッシュ素材のものなど、素材も様々です。 |
入浴関連 | 入浴時にストーマ装具の装着を目立なくするために、ストーマ袋の替わりに装着するキャップや、ストーマ装具全体を覆うシートなどがあります。 |
テープ類 | 面板の周囲に貼って皮膚への密着を助け、モレや剥がれを補強します。 通気性、防水性があってかぶれ難い特性のある粘着テープなどがあります。 |
凝固剤 | ストーマ袋の中に入れて水様性の排泄物(水様便や尿)をゼリー状にすることで、漏れや面板の剥がれを防止することができます。 |
ガーゼ | 面板を皮膚に貼り付ける時に、ストーマからの水様性排泄物(尿や水様便)による皮膚の汚れ防止のために排泄物を吸収するのに使用します。 |
パウチカバー | ストーマ袋にかぶせて汗を吸収し、汗による皮膚障害や、ストーマ袋が直接皮膚に触れてことによる皮膚障害を防止します。 |
専用下着 | ストーマ保有者専用の下着で、ストーマ袋を収納するためのポケットがあり、フィット感を高めたり、蒸れを防ぐことができます。女性用や男性用のボクサータイプ、ブリーフタイプなど様々な種類があります。 |
採尿袋 | 遠出などで通常のストーマ装具に接続して尿をためるためのレッグバッグや、就寝時、通常のストーマ装具に接続して長時間に尿をためるための夜用などがあります。 |
ハサミ | 腸内環境を整え、排泄物のニオイを元から防いでくれるゼリーや、アルカリ性尿を予防するジュースなどがあります。 |
食べ物 | ストーマ周辺の皮膚の汚れを落とし、清潔に保つためのアクセサリーです。 洗い流しが不要で拭き取 り直後に面板の装着が可能なものもあります。 |
その他 | ニトリルグローブセーフィット・ドレインストッパー肌・オストイージーベント・開放型採便袋用閉鎖具など |